参加者は大人16名、こどもを入れて総勢21名。蔵のご主人いわく
「いやー困ったね、こんなに参加者が多いと杉樽を囲む古い床板が抜けるかも」
とのことで二班に分かれてのもろみ見学となりました。ぎしぎしときしむ床を恐る恐る歩きながら大きな杉樽の中を覗くと「熟成が進んだもろみです、なめてみましょう」とご主人。さっそくもろみを樽からくみ出しての試食会となりました。
「この杉樽はね、元はといえば酒樽なんですよ。その昔、飯田の酒蔵が時代の流れで店をたたんで喜久水さん一軒になったんです。ちょうど木樽からステンレスに代わるころでもあったので杉樽を譲り受けることができました」。
杉樽のとなりの部屋にはFRPの樽もあって、こちらには絹田さんのまだ若いもろみが入っていました。試食すると「うーむ、旨いね」とおおむね好評。絹田さんのもろみはしばらくFRP樽で寝かせたあと杉樽に移してさらに熟成させるそうです。
もろみの他、大豆の洗い、蒸し、真空冷却の三つをすべてこなす大型の機械、発酵室、巨大な絞り機などを見学。自分でお醤油作りを楽しむ人が多いこともあって活発な質問が飛び交いました。
醤油蔵をあとにして一行は下條村の絹田農場を目指して移動。山道をぐんぐん登った農場からの景色は絶景でした。大豆畑に蒔いた小麦や中古で買った大豆の脱穀機を見学。みんなでお醤油プロジェクトについて意見を交換したあと夕暮れどきに解散しました。
◆見学させていただいた松岡屋醸造場さんのWEBサイト
絹田農場 青見平のたまご屋さんWEBサイト
[みんなで仕込もうお醤油プロジェクト]
各自、大豆と小麦を持ちより2018年3月に松岡屋さんでお醤油を仕込みます。総量は大豆660キロ、小麦600キロ。一人大豆33キロ、小麦30キロを用意すると20人で必要量が確保できる計算です。
松岡屋さんの古色蒼然たる杉樽で熟成させる「みんなのお醤油」。プロがつくるのでどこでも販売可能です。統一ブランドをつくるのも良し、農場のオリジナルラベルを貼るのも良し。動き出したばかりなので多くの参加者を募集しています。みんなのアイデア次第でとても楽しいプロジェクトになる可能性あり。来年、春蒔きで小麦を作れる可能性もあるので大豆はあるけど小麦が…という人も挑戦してみてはいかがでしょうか。少量で参加したい人も相談してみて下さい。呼びかけ人の絹田さんもいろんな可能性を模索中です。
①松岡屋さんは長野県でわかっている範囲で二番目に古いお店だそうです。創業480年!? |
②お醤油の品揃えは豊富。大豆は甘みのあるギンレイや大粒のツブホマレといった品種を使ったお醤油もある一方で、昔ながらのアミノ酸などの添加物が入った安い商品も用意。根強いファンがいるそうです。 |
③FRP樽。初期の発酵に使います。 |
④樽のもろみはエアーで撹拌。松岡屋さんではもろみの味を見極めながらじっくりゆっくり仕上げます。 |
⑤こうじ室。お醤油業界でも分業が進み、こうじから丁寧につくる蔵も減ったのだとか。 |
⑥大豆の洗い、蒸し、真空冷却をこの装置一台でこなす。醤油こうじの最大の敵は納豆菌なので、120度の蒸し大豆を真空装置で一気に40度まで冷却。納豆菌繁殖の適温から素早く抜け出す優れものの装置です。感心! |
⑦絞り機。500キロといってもピンとこないけど、すごい圧力がかかります。 |
⑧「自家製醤油をつくるときにジャッキで圧力をかけてますが、もろみの袋が圧で破けることが…。どうしたら…」との質問にご主人いわく「もろみを袋に入れてすぐに絞るとどんな袋でも破けます。じっくり置いて自然落下させたあと圧をかけて下さい。うちの絞り袋は袋になっていないただの布切れです」。 |
⑨布を折り込んで出来上がり。絞りかすを取り出すのもこれなら簡単です。 |
⑩絹田農場の小麦/大豆の畑。見事です。珍しい赤大豆も見せてもらえました。 |
⑪ネットオークションで5万円くらいで落とした大豆脱穀機。エンジン不調で別のハーベスタのエンジンに自力で載せ替えたとか。創意工夫、手先も器用な絹田さんでした。 |
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