長野県有機農業研究会の公式ブログです。

2010年12月11日土曜日

第31回大会のお知らせ

長野県有機農業研究会第31回大会を以下の概要で行います。

■これからの「有機」の話をしよう
いまを生き延びるための植物生理に基づく有機栽培理論 ~小祝政明の白熱講義~

日時 2011年2月26日(土)13:00~17:00
場所 望月少年自然の家
講師 小祝政明(こいわいまさあき) ㈱ジャパンバイオファーム代表

詳細は以下の特設サイトにてご確認下さい。

第31回大会特設サイト
http://asahiyanoujou.jp/naganoyuuki2011/

2010年11月20日土曜日

生命のつながりを考える~獣害問題と生物多様性

北信地区担当の2010年度特別イベントのお知らせです。


(以下、転送・転載歓迎)
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●長野県有機農業研究会主催
  野生肉料理教室 & 討論会
「生命のつながりを考える~獣害問題と生物多様性」
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日 時 11月27日(土) 10:00~13:00 野生肉料理教室・昼食付き
              13:00~15:00 討論会「獣害問題と生物多様性」

場 所 長野市ふれあい福祉センター
    (長野市役所・市民会館の東側)4F 調理実習室
     *お車の方は市役所の駐車場をご利用ください
      (混む場合がありますので、できるだけ公共交通機関の
       ご利用をおねがいします)。

参加費  料理教室(昼食付き)1000円(非会員は1500円)
      討論会 無料

定 員  料理教室40名、討論会50名
     (会員先行予約、11月上旬一般広報以後は先着順)

申込先  遠藤夏緒(農楽里ファーム)
       TEL&Fax 026-266-3034
       メール:norari@grn.janis.or.jp

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【料理教室】
講師:井上不二子
シカ・イノシシなどの野生肉を使い、ご飯と一緒に気楽に箸でつまめる
料理を研究しています。近い将来、野生肉レストランを開設すべく奮闘中。
今回の料理教室では、「シカのしぐれ煮とその応用」を予定しています。

【討論会】
コーディネーター:太田和夫(NACS-J自然観察指導員、元埼玉県立自然史博物館学芸員)
パネラー:
井上不二子(前述)
柴本 勤(中野市にて柴本無農薬菜園を主宰)
大内英憲(坂城町で有機農業を始めて5年目。農園名はファームさいかち)
長野県野生鳥獣対策室(野生鳥獣行政を担当、被害対策や保護管理計画を推進)
長野県自然保護課(自然保護行政を担当、現在は生物多様性長野県戦略(仮称)を策定中)
岸元良輔(長県環境保全研究所専門研究員、哺乳類生態を担当)

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【開催趣旨】
近年、野生動物による農業被害問題がたいへん深刻になっています。
人里に下りてくるツキノワグマやニホンザル、分布域を急激に拡大し
ているニホンジカやイノシシ。特にニホンジカは、長野県における昨年
度の農業被害額が約4億円に達し、捕獲数は1万8千頭を越えています。
なぜ、このような状況になったのか、生物多様性の視点から獣害問題と
今後の農業のあり方を討論したいと思います。あわせて、生命のつなが
りに感謝しつつ、シカなど野生肉料理教室を行いたいと思います。

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【なぜ、野生肉を利用するの?】(井上不二子)
いわゆる「害獣」の食肉利用の話には、「獲らなければならない」「食
べていかなくてはならない」という論調が多くあります。これは、動物の
食害がよく知られておらず、まだ人々がシカやイノシシを獲ってよいの
か、食べてよいのか分からない状態では必要な論調でした。しかしそ
もそもシカもイノシシも、この日本列島で数千年の伝統を持つ食材です。
先祖がそれらを食べて遺伝子を紡いできてくれたからこそ、我々は今
ここにいるのです。そしてそれらは現在の我々の味覚にとっても、申し
分のない肉なのです。このような素晴らしい食材が天然でたくさんとれ
ることは、本来喜ばしいことのはずです。それを「害」「問題」という形で
しか認識できない我々の、自然との関係がおかしいのです。昨今の長
野では、一般の方にも随分と食害の問題は知られてきています。「食
べなければならない」「食べるべきだ」、といったどこか他人事の発想か
ら、「食べよう」「食べたい」に発想を転換し、山の恵みのありがたさを分
かち合うことで、生命の有機的関係の中で生かされる自分を発見するこ
とが、今あえて野生肉を食べる意味なのではないかと思っています。

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【なぜ、獣害問題が起きるの? 】(岸元良輔)
じつは、獣害問題だけでなく、限界集落、山村文化の消失、自給率の
低下、食の安全など多くの農業問題は、突き詰めてみるとグローバル
経済に原因があります。食料・木材・石油など化石燃料を輸入するか
ら、獣肉が利用されず、里山が放置されて野生動物の生息地になり、
農山村の過疎化で野生動物が里に下りてくるバリアーがなくなってい
ます。

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【「生物多様性」は生命のつながり】 (岸元良輔)
今年10月にCOP10(生物多様性条約締約国会議)が名古屋で開催さ
れます。「生物多様性」とは、多様な生物のつながり、つまり生命のつ
ながりを意味します。農業は大地をたいせつにし、土や水や生き物と
のつながり、すなわち生物多様性の中で営まれるもの。それなのに、
現在はすべてが経済優先の競争社会、農業も化学肥料・農薬を使用
した大規模生産でないと生き残れない時代。でも、自然を食い尽くしな
がら成長するグローバル経済が破綻するのは目に見えています。今後
は地域で自給自足できる有機農業こそが見直される時代です。
人と自然、人と人とのつながりを大事にした農業とはどのようなものか、
獣害問題を切り口にして生物多様性の視点から討論できればと考えて
います。

2010年9月21日火曜日

入会のご案内

■こんな会です!

 長野県有機農業研究会は、農業生産者、農産物加工業者、消費者、医師、研究者、ジャーナリストなど有機農業に関わる幅広い力を集めて1981年に結成されました。現在約210名の会員が参加して活動しています。
 戦後日本の農業生産方法は大きく変化し、それまで肥料不足や病害虫、雑草との戦いに苦しんでいた農家は一斉に農薬と化学肥料に頼るようになりましたが、そこには大きな落とし穴がありました。1960年代になると農薬と化学肥料による被害が日本中を覆い、農薬中毒・作物中の発癌物質・環境破壊など、さまざまな問題が表面化してきました。このような状況の中、良識ある人々により1971年に日本有機農業研究会が発足し、また国際的にも運動が高まり、72年に国際有機農業運動連盟(IFOAM)が結成されました。
 県内でも多くの方々が、それぞれの立場で地道な活動を続けていました。やがて有機農業に取組む人がさらに増えるに従い、全国各地で県単位で会を作る動きが始まり、長野県有機農業研究会が結成されました。
 現在、私たちを取り巻く状況は大きく変化し、従来の農薬や化学肥料による害にとどまらず、環境ホルモンや遺伝子組換え作物の問題が、命に関わる問題として私たちに迫ってきています。
 遺伝子組換え作物は、たとえ農薬や化学肥料を一切使わずに作られたとしても有機農産物ではないということは国際的に確認されています。しかし組換え作物は、輸入飼料から家畜糞尿(堆肥材料)に形を変え、また有機質肥料として、有機農業の中にさえ入りこんできています。それどころか、組換えられた遺伝子は人間の管理を離れ世界中を遺伝子汚染しつつあります。
 またあらゆる生産・生活場面にさまざまな環境ホルモンを出す物質が入りこんでいます。私たちはこれらの問題に対しても、何とか解決方法を見出して行きたいと思っています。
 最近、地球温暖化防止機能など、農の持つ多面的機能が重要視され始めました。これからの地域社会を考える上で必要不可欠な、人とひととの絆・循環型社会のあり方や、環境問題などを「有機」という視点から見つめ、発信して行くことも私たちの大切な役割と考えています。
      
■こんな活動をしています!
・大会                    
 年一回、毎年2月頃に総会と併せて大会を催しています。会員だけでなく、開催される地域の皆さんにも参加していただき、2日間にわたり、講演・事例発表/検討・分科会・懇親会・総会など、内容豊富に行っています。県内を4つの地区ブロック(北信・東信・中信・南信)に分け、巡回開催し、担当する地域の実行委員会がすべて手作りしています。それぞれの地域の特徴が出て、毎回違った楽しみがあります。まずは、気軽に一度のぞいて見てください。

・会報(追記:2017年度より年一回発行に変更となっております)
 会報編集委員会により、3月・6月・9月・12月の年4回、会の活動や関係するイベントのお知らせ・研究レポート・実践報告・活動参加報告など、盛沢山の内容で読み応えのある会報を発行しています。会員からの投稿も大歓迎で、随時掲載されます。

・地区学習会
 毎年地区ごとに、県内の各地区の生産者の実際の圃場や研究施設などの現場や見ながら、さまざまな取り組みを学習し、自らの活動に生かしていただけるよう企画しています。

・部会活動
 会の中には、同じ関心を持つ会員が集まって、活動することができる部会があります。

 <穀物野菜部会>
 土作りから栽培、貯蔵方法まで、見学会などもしながら幅広く実践的に学習しています。

 <種苗部会>
 有機農業に向く穀物や野菜の種子を探し、保存したり、自家採種した種の交換会をしています。

 <食べ物部会>
 有機農業を食生活の面からとらえ、健康に育てられた作物を上手に身体にとり入れて行く食べ方をテーマに活動しています。

 他にも果樹部会や青年部などがあり、独自の活動をしています。

・特別イベント
 各地区担当で有機農業そのものというよりは、もう少し広く環境・健康・食品・暮し方といった中から時宜にかなったテーマでの講演会や各地区の特色のあるイベントを行っています。会員以外の皆さんにも関心を持っていただき、私たちの運動に対する理解を深めていただけるように企画しています。

・会員の自主的な活動
 有機的な生活を楽しむために、農村文化や農のある暮らしの中での生活技術を学ぼうと、会員が自主的に開いています。庭先養鶏や、自給用の果樹栽培、食用油搾り、家づくり、山仕事などといった、生活を豊かにするための勉強会です。有機農業そのものの勉強とは一味違った魅力があります。

■有機農業の目指すもの
一.安全で質のよい食べ物の生産
  安全で質のよい食べ物を量的にも十分に生産し、食生活を健全なものにする。

一.環境を守る
  農業による環境汚染・環境破壊を最小限にとどめ、微生物・土壌生物相・動植物を含む生態系を健全にする。

一.自然との共生
  地域の再生可能な資源やエネルギーを活かし、自然の持つ生産力を活用する。

一.地域自給と循環
  食料の自給を基礎に据え、再生可能な資源エネルギーの地域自給と循環を促し、地域の自立を図る。

一.地力の維持培養
  生きた土を作り、土壌の肥沃度を維持培養させる。

一.生物の多様性を守る
  栽培品種、飼養品種、および野生種の多様性を維持保全し、多様な生物と共に生きる。

一.健康な飼養環境の保証
  家畜家禽類の飼育では、生来の行動本能を尊重し、健全な飼い方をする。

一.人権と公正な労働の保障
  安全で健康的な労働環境を保障し、自立した公正な労働及び十分な報酬と満足感が得られるようにする。

一.生産者と消費者の提携
  生産者と消費者が友好的で顔の見える関係を築き、相互の理解と信頼に基づいて共に有機農業を進める。

一.農の価値を広め、生命尊重の社会を築く
  農業・農村が有する社会的・文化的・教育的・生態学的な意義を評価し、生命尊重の社会を築く。
 (日本有機農業研究会基礎基準2001年版より)

■あなたの入会をお待ちしています!
 私たちの会の活動に関心を持たれた方なら、消費者・生産者・研究者などなど、どなたでも入会していただけます。事務局までお問い合わせの上、お申し込みください。2010年度・年会費は2,000円で入会金はありません。ぜひご参加ください。

■長野県有機農業研究会
郵便振込口座:長野県有機農業研究会 00560-6-40462