長野県有機農業研究会の公式ブログです。

2016年8月16日火曜日

【報告!】 南信第一回学習会 信大院生大澤崇季さん、田んぼの生き物を語る

去る3月12日(土曜日)に「お花見をしないお花見会」のゲストに信大院生の大澤崇季さんを迎え、南信第一回学習会を行いました。
 講師  信大農学研究科森林科学専攻 修士2年大澤崇季さん
 テーマ 田んぼの生き物、とくにゲンゴロウの生態と保全を考える。
 場所  高遠青少年の家 ログハウス宿泊棟
 参加者 26名
 
 大澤さんは昨年末発行の会報「No.91 2015年冬号」で「水田に生息する水生昆虫群集の現状と価値について」と題して佐久市でのフィールド調査の成果を発表。記憶にある方も多いのではと思います。

 今回の学習会はその大澤さん本人をゲストに迎え、スライドを見ながら田んぼの生き物について学ぼうという主旨で企画しました。
 「この春大学院を卒業して某農薬メーカーに就職が決まりました。ベテランの研究者ではないので、皆さん、僕のことは大澤くんと呼んで下さい!」
 というあいさつから入ったスライドショーでしたが、里山が好き、田んぼが好き、なかでもゲンゴロウが大好きという大澤さんの熱気が伝わる発表でした(内容は会報のレポートと重なるので割愛。慣行田と有機田の生き物調査の比較、ゲンゴロウの生態など)。
 そのあとの交流会でお酒を飲みながら僕、ハマダが大澤さんに質問してみました。
 「長野県ってタガメが絶滅してるよね。なんとか復活できないかな」
 すると大澤さんいわく
 「うーん、どうですかねえ。全国的にみるとタガメがフツーにいるところもあるんです。長野はそもそも生息個体が多かったわけではないので、僕個人としては復活させる意義をあまり感じないのですが…」
 うむむ、冷静です。ま、それにしても水面下の生き物をじっくり観察する時間をなかなか持てない僕なので「生き物って楽しいですよ、みなさんゲンゴロウにもっと愛を!」と語りかける大澤さんの発表はとても刺激的でした。


写真


①稲刈り後に雨がふって田んぼにたまった水にトンボが産卵するのが見れた。


②大澤さんのレポートによると、機械除草で貝類が減少することもあるらしい。有機農法も様々で、一概に生物の多様性にプラスとは限らない。


③最近の赤トンボの減少は苗箱の農薬(殺虫剤など)が大きな原因だと言われている。数年前に僕がとなりの慣行田とヤゴ発生の比較調査をしたときも、極端な結果の差(慣行田でのヤゴの発生ゼロ)に驚いた。

2016年8月8日月曜日

【8/31開催】 遺伝子組み換え作物の問題についての学習会を開催します

中信発 

2016年8月31日(水) 学習会のお誘いです


日時 831日  pm13:30~(開場 13:00~) 16:00終了予定
場所 安曇野市三郷農村環境改善センター2F会議室
内容 DVD「遺伝子組み換えルーレット」の上映と
トーク「日本の遺伝子組み換えの表示はどうなっているの?」
参加費 300
申し込み不要ですが 何かあれば08010503131 津村まで


会員の知人の松野さんが、この問題に関心を持ち、独自に収集してきた情報を、より多くの方々と共有し、共に考えていきたいという熱い想いからスタートした企画です。
一般の会社員や主婦層にはちょっと重い内容かなーと言っておられましたが、私(津村)、先日見ました。
分かりやすい内容で、とても良い内容だと思いました。

有機農研の歴史の中でも、この問題は大きく取り上げられてきていますから、様々な形で知っておられる方も多いかと思いますが、改めて、何が問題なのかを整理する良い機会ではないかと思います。

2016年8月4日木曜日

【報告】 南信 春の稲作学習会@自然農法センター

去る3月7日(月)に松本市波田の自然農法センターで行った南信発「春の稲作学習会」の報告です(南信 浜田淳)
 
 日時   3月7日(月)  10時~14時近く
 講師   自然農法センター稲作担当 三木孝昭さん
 テーマ  田植えの前に育苗を中心に稲作の要点を学ぶ
 参加者  26名

 当日は南信のみならず全県から26名が参加、稲の育苗を中心
に学びました。お昼はお弁当を食べながら講師と意見交換。ところが講師の三木さんが質問攻めにあって弁当を食べる暇がなく、お箸はテーブルに置かれたままに…。参加者からは「先生が稲の話をしているのに目の前のお米が食べられない、気の毒じゃあないか!」との声も上がりました。反省です。
 自然農法センターは長年に渡り有機稲作の研究を行っていてそのノウハウの蓄積はとても深いものがあり、短時間の勉強会でしたが多くの収穫がありました。以下、僕、ハマダが参考になった点をまとめてみました。


①浸種 催芽
 「水温10度以下の浸種は不可、発芽不揃いの一因に。浸種は12度だと6日でOK。短期間ですみやかに」。
 僕、ハマダはいろんな本を読み漁ったあげく「浸種は低温長期間」の方針でやっていたのでちょっと戸惑いました。種もみを生存ぎりぎりの低温にさらすと強い稲が育つ、といった意見も本では見られるのですが、この春実際に12度、6日でやってみると何の苦労もなく発芽が揃いました。


②コナギ対策
  「収穫後の耕運で稲藁を早く分解させるのが最大のコナギ対策」
 農法センターでは田んぼの雑草対策も研究していて稲の分解度合いとコナギの関係はかなり解明が進んでいるようです。特にコナギは本来は光りがないとほとんど発芽しないのに、未分解の稲藁が多いと光りがなくても(暗条件でも)発芽するという実験結果が出たそうです。なのでコナギを抑える最良の手段は秋起こしと春起こしをきちっとやる。さらには早期に水を入れて田植えまでに地温を上げて稲の分解を促すことだそうです。


③遅植え
 「あたたかい地温で稲をすみやかに成長させるためにも遅植えがおすすめ。田植え後の稲の成長が速ければ雑草との競争にも有利」
 今まで僕は寒冷地(標高千メートル)でもあり、4月の25日頃に植えていました。けれどもお話を聞くと寒冷地だからこそ田植え直前まで稲藁をできるだけ分解させたい、という側面もあるようで、今年は6月1日から3日に植えてみました。今のところ稲の生育は順調です。

 他にもたくさんのヒントがあったので今後に生かしていきたいと思います。





育苗用土として田んぼの土をトタンにのせて焼土を作りました。育苗のスタートはこの無肥料焼土のみ。1.5葉から自然農法センターのやり方で魚ソリュブル(濃縮液)を数回に分けて追肥しました。

焼土は毎年作っていますが、作り終えたあと全身燻されるのが欠点。ほとんど燻製状態です。


無肥料育苗土にくん炭を半分ほど混ぜるのが農法センター流。育苗箱が軽く扱いやすくなります。灰はくん炭をネットに入れて洗い流すかふるいにかけます。アルカリ分が強いため。今年知人が自作したくん炭をもらってふるうと、大量の灰が出てびっくりしました。くん炭にも善し悪しがあるので要注意。



今年の苗箱の伏せ込みは、苗代に氷が張っていました!
「厳しく苗を育てるという発想は捨てて、寒冷地なので過保護過ぎるかなという感じで育てましょう」、と講師の三木さん。長野県の育苗は、苗に優しく過保護に!です。